なにがなんでも(だって美味しいから)

ビールを提供する店の役割とは。

当たり前のことですが、ビールを美味しく提供することです。

味が変わってしまう汚染などがないよう衛生的にビアサーバーを保つことは当然ですが、
ビールの樽内の二酸化炭素ガス(炭酸)も調整しながら、そのビールの持つ美味しさを最大限紹介できるように努めています。

さて、先日HOP FROG CAFE開店以来最大のピンチに見舞われました。

新しくビアサーバーにつないだビールが泡しか出てこないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樽の出荷時のガス圧や樽の揺れの影響で、最初は泡がたくさん出る場合でも、調整しながら1Lも出せば落ち着いてくることがほとんど。

しかしながら、このビールはいくら出しても泡しか出てきません。

泡しか出てこない、だけでなく、ビールを出そうとすると逆流して二酸化炭素のボンベ側のほうにビールが流れて行き、サーバー故障のピンチに!

これだけ泡が多い原因をいろいろ考えてみる中で、泡が液体に戻ったものを味見すると。。。

これは美味しい。

これは、是非お客様に飲んでいただきたい。。。

どうにかしたい。。。

果汁がふんだんに使われたビールでしたので、酵母が生きているクラフトビールならではで、樽内で発酵が進み炭酸が醸造所出荷時より増加したことが原因のではないかと仮定し、このビールを出せるようにする方策を考え始めました。

測ってみたところ、ガス圧はおそらく一般的なクラフトビールの樽と比べて3倍くらい出ていそうなことがわかりました。

ならば、ガスを抜いてみよう、と選択した方法は、

自前の樽にビールを移しガスを抜く、という方法。

自前の樽にはガスを抜く弁がついているので、これでビールを落ち着かせることができるかもしれない。。

という判断で、樽と樽を繋いで移送開始です。

ゆっくりゆっくり、おそるおそる、自前の樽にビールを移していきました。

 

移送終了後のビールは、まだまだ泡しか出てきません。

しかも!液体が出てくるはずのない、ガス弁からも泡がもこもこ出てきます。

樽のガス弁をシューシュー言わせながら、出てくる泡にびっくりしながら、少しずつガスを抜いてみます。

そしてだいぶガスを抜き泡を出した後に、

ようやく液体の姿が。。。。

翌日には、ちゃんと出せるようになりました。

 

交換や返品になるケースだったかもしれませんが、せっかくの美味しいビールをこのまま見過ごすのはあまりに悔しいという執念?で、半分ほどロスをしたけれどもお出しすることができた、記憶に残るビールとなりました。

醸造所で美味しく作ってもらったビールを、店では一番おいしくなるように提供したい。

ビールのコンディショニングは店の役割だと改めて思うことになった、大騒動でした。

もうちょっとオタクなコンディショニング話は、また別の投稿で。

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Written by Naoko

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